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2011年3月 1日 (火)

傾聴の技法③ 返球の仕方

Catching

 コミュニケーションはキャッチボールによく例えられますが、こちらが反応しなければ壁に向かってボールを投げているのと同じになります。今回はボールの投げ返し方についての技法です。

 まず、賛同と理解。相手の言葉にうなずいたり、賛同の意を表現する。または、内容が理解できたことを伝える、という方法です。賛同の強さの程度に従って、①黙ってうなずく、②「はい」「そうですか」など短い言葉を伴ってうなずく、③「あなたのおっしゃる通りです」「あなたがそう思うのも無理はないことです」などと強めの賛同の言葉をかける、を使い分けます。

 内容の理解と心情の理解は違います。信頼関係ができる前は、相談者は「あなたにそんな簡単に私の心情をわかるはずがない」と心のどこかで思っている場合があります。事実、心情にはその人しかわからない部分が必ずあります。内容の理解には、言外に「私はあなたの心情をすべて理解することはとてもできませんが、あなたがいかに傷ついたかが私なりに理解できました」というメッセージがこめられています。この方法を使えば、誰かにつらい思いをさせられたため、「その人がこの世からいなくなればいい」という激しい言葉を聞いた時に、カウンセラーの心に道義的な気持ちが湧き起こり、後半の部分を修正や否定したくなる衝動を抑えることができます。

Keichodog

 次に、繰り返しと言い換え。相手の言葉の内容やフレーズを自分でかみしめるように繰り返すこと。これはオウム返しではありません。言葉を理解しないで自動的にただ繰り返すだけでは、馬鹿にされていると誤解されても仕方ありません。あくまでも、カウンセラーが相談者の言葉を反芻して深く理解しようとする気持ちの表れです。たとえば、「あなたはそこで不安になった(というのですね)」など。言い換えは同じ言葉でなく、微妙に表現を変えたり、全体を要約したりすることです。たとえば、「何もかも嫌になった、つまり、全てを投げ出したい気持ちになったのですね」など。繰り返しや言い換えの良いところは、相手とともに心情の探査ができることです。自分の言葉でもカウンセラーの表現でも相談者自身が「いや、待てよ。そういうのとはちょっと違うな」という違和感に気づけば、本当の心情にたどり着けるかもしれないのです。

 返球がうまくできないと、相手から「これでは犬に話しかけた方がよほど癒される」と二度と相談されなくなります。

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