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2010年1月28日 (木)

新美南吉「ごん狐」

 今回の朗読音声は新美南吉の「ごん狐」。言わずと知れた名作ですが、これまで朗読するのを躊躇していました。いたずらものの子狐のごんが、兵十の網から魚を逃がしてしまいます。後日、兵十の母親の葬式を目の当たりにしたごんは、その魚が病床の母親のためのものだったに違いないと後悔します。動物と人間、決して折り合うことができない関係の中で、あたたかな思いが交錯するところに救いがあると気づき、朗読する気持ちになりました。

 考えてみると、これは「ボタンのかけ違い」の話です。悪人は出てこないのに不幸な結果になり、「どうして?」という気持ちになります。また、「どうしたら不幸な結果を避けられるのだろうか」と考える読み手もいるでしょう。社会で起こる争いの多くはこうした「ボタンのかけ違い」が原因です。「ごん狐」は子供たちに「思いやり」の大切さと同時に、世界を幸福に導くための「思慮深さ」「智恵」の必要性を教えてくれます。

 ごんを人間の子供に重ねてみると、多動症的な要素が多くあります。神話や童話ではこのような性格の登場人物(トリックスター)が物語の狂言回しになりますが、「ごん狐」ではその死によってもたらせる悲しみが大きなテーマとなっています。多動症をはじめとする発達障害のお子さんが傷つけられないような社会をつくる、という今日的な課題にもつながってくると思います。

 ナレーションの声と前後の音楽を「蜘蛛の糸」と同じにしてみました。ぜひ聞いてみてくださいね。音楽は著作権フリー(SAM free musicさんTAM music factoryさん)のものを使用しています。

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