有島武郎「一房の葡萄」後編
今回は「一房の葡萄」の後編です。前半の重苦しさを救うのは天使のような美しい女性教師です。有島武郎は東京小石川水道町に生まれましたが、父親の仕事の関係で4歳の時に横浜に移り、6歳から9歳まで横浜英和学校に通い外国人とともに学びました。ここは明治13年にキリスト教宣教師のブリテンが創立した学校で、現在の横浜英和小学校です。
当時宣教師として働いていたミス・クリテンデンが本作品の外国人教師のモデルと言われています。恐らく幼心に強いあこがれを感じていたことでしょう。有島武郎は成人後にキリスト教に一時入信しています。本作品はそうした雰囲気を色濃く漂わせているため、賛美歌がよく似合うのだと思います。つまり、罪と罰、良心の呵責と赦し、光と影などが描かれています。しかし、注目したいのは先生の教育姿勢です。
誰にもあやまちがあり、それを悔いる良心があります。先生はそれを静かに感じとって、感情的に叱らず、愛情で包みこみます。そして、同級生のジムには「赦すことの尊さ」を伝えたのでしょう。翌日にはガラリと気持ちを変えることに成功しています。
先生は「僕」とジムの二人に一房の葡萄を分け与えます。白い掌に乗せられた葡萄が鮮やかなイメージを生みだしています。そして、それは今の時代に必要なものを象徴しているように思えてなりません。
音源はクラッシック名曲サウンドライブラリーさんのPC打ち込みによるものを使用させていただいています。最後のBGMはAudioMicroから購入したAllelujah Our Fathers (by barneymcall)という曲です。
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